硬式野球と軟式野球の違い・特徴とは

この記事では、硬式野球と軟式野球の違い・特徴について解説します。野球を始めたいと思っている方や、野球を既にやっている方にも向けた記事です。

硬式野球と軟式野球の歴史

 日本の野球には、硬式野球と軟式野球があります。

 日本における野球の伝来は、1871年にアメリカ人によって現在の東京大学である、東京開成学校予科に伝えられ、大学を中心に広まっていきました。その後、大学野球の盛り上がりは、高校にも広がり、1915年8月には、大阪の豊中球場で、第1回全国中等学校優勝野球大会(現在の甲子園大会)が開催されました。そして、1920年には、早稲田大学野球部OBらによって、日本初のプロ野球チームが結成されました。その後、野球が多くの子どもたちにも楽しまれるようになって、ある問題が発生しました。それは、硬式ボールは、子どもたちにとって怪我のリスクが高いということです。第1回全国中等学校優勝野球大会においては、硬式ボールが使用されましたが、それは、子どもたちがプレーするには、決して安全とは言えませんでした。そこで、1916年、京都市の小学校教員を中心に、野球用ゴムボール開発が行われました。1918年に完成、販売され、1920年には、大日本少年野球協会が発足し、少年野球の本格的な全国大会まで開かれました。軟式野球は、外国から来たベースボールを、子どもたちも楽しめるように日本独自で生み出されたものです。

 そして、今や、多くの人に楽しまれている野球。硬式野球と軟式野球は、「硬式ボールを使用して行うものを、硬式野球」と呼び、「軟式ボールを使用して行うものを、軟式野球」と呼び、分けられています。

 では、硬式野球と軟式野球にはどのような違いがあるのでしょうか。

硬式ボールと軟式ボール

 硬式野球と軟式野球の1番の違いと言ったら、「ボール」でしょう。硬式ボールと軟式ボールでは、硬さ・重さ、材質などが違います。では、それぞれどのような特徴があり、違いがあるのでしょうか。

  • 硬式ボール・・・硬い・重い、皮革製
  • 軟式ボール・・・柔らかい・軽い、ゴム製で中空

 硬式ボールの特徴と言えば、「硬い・重い」です。硬式ボールは、軟式ボールと違ってボールの中身は、数種類の糸で何重にも巻かれています。その分、硬く、重くなります。また、ボールの表面は皮革でできているので、ざらざらして滑りにくい特徴があります。

 軟式ボールは、子どもが安全に野球をするために、作られました。ゴム製で中空であり、重さや大きさも硬式ボールを下回っています。しかし、近年、軟式ボールは硬式ボールに近づいてきています。2006年から2017年に使用されたボールには、それ以前のものと比べ、約10%の飛距離アップが計られ、投手にとっては、変化球が投げやすくなりました。また、2017年以降は、A号球とB号球を統一し、M号(メジャー)球に、C号球は、J号(ジュニア)球に変更されました。M号球は大きさが2ミリ大きく、重さが3グラム重くなり、J号球は、大きさが1ミリ、重さが1グラム大きくなりました。大きさと重さが硬式ボールに近づくと同時に、硬さも硬式ボールに近づきました。変更後は、変形しにくくなり、バウンドの高さは約15%減少するようになりました。

 次に、硬式ボールと軟式ボールについて、それぞれ詳しく解説していきたいと思います。

硬式ボールの特徴

  • 硬い →変形しにくく、飛距離が出やすい
  • 重い →運動エネルギーが大きく、球速が出やすい
  • 跳ねにくい
  • 滑りにくい

 上でも解説したように、硬式ボールは、軟式ボールに比べて、「硬く・重い」です。硬さ・重さの秘密は、ボールの中身の違いです。軟式ボールは中身が空ですが、硬式ボールは、数種類の糸が何重にも巻かれています。そのおかげで、硬くなり、バットとボールがぶつかった時にボールの変形が少なく、飛距離が出やすくなっています。また、重いおかげで、運動エネルギーが大きくなり、球速も出やすくなっています。また、硬式ボールは、皮革製のため、ゴム製の軟式ボールより、跳ねにくく、表面がざらざらしているので、滑りにくい特徴があります。

 飛距離が出やすく、球速も出やすいことから、レベルは上がりますし、迫力も軟式野球よりあると思います。

 また、硬式ボールは、軟式ボールよりも、硬く、重いので、怪我のリスクも高くなります。硬式野球は、軟式野球以上に怪我を予防するために気を配らなければなりません。

 硬式野球は、ひと言で言うと、「レベルが高く、迫力満点のもの」と言えます。

軟式ボールの特徴

  • 柔らかい →変形しやすく、飛距離が出にくい。怪我をしにくい
  • 軽い →運動エネルギーが小さく、球速が出にくい。蓄積的な疲労が少ない
  • 跳ねやすい
  • 滑りやすい

 軟式ボールは、硬式ボールに比べて、「柔らかく・軽い」です。柔らかい分、硬式野球より、怪我のリスクが低くなりますが、ボールが変形しやすくなり、飛距離が出にくくなります。また、軽い分、蓄積的な疲労が少なくなり、怪我のリスクが低くなりますが、運動エネルギーが小さくなり、球速も出にくくなります。

 軟式ボールは、ゴム製のため、跳ねやすい特徴があります。その特徴を生かして、「叩き」という作戦があるのは、軟式野球の醍醐味です。また、表面はツルツルしているので、滑りやすい特徴があります。特に、雨で濡れてしまった時は、投げるのが難しくなってしまいます。

 軟式野球は、ひと言で言うと、「多くの人が楽しめるもの」と言えます。

野球を始めるなら、硬式?軟式?

 これから、野球を始めたいと思っている人におすすめするのは、「軟式野球」です。

 理由は、硬式野球よりも、怪我のリスクが低いからです。軟式野球は、外国から来た硬式野球を子どもでもできるように改良したものです。硬式ボールは、硬く、重いため、当たった時のダメージは大きいですし、蓄積的な疲労も溜まりやすいです。特に、野球を始めたい子どもにとっては、硬式ボールは負担が大きすぎます。

勿論、硬式野球にも軟式野球にはない魅力がありますが、野球初心者の人は、怪我のリスクが少ない、軟式野球から始めるのが最善だと思います。

 また、「いずれ、硬式野球をやるのだから、最初から硬式野球をやった方が良いのではないか」と思っている人もいるかもしれません。しかし、そのように思っている人も、軟式野球から始めるのをおすすめします。

 それは、軟式野球は、基礎を固めるためには、最適だからです。軟式ボールは、硬式ボールに比べ、変形しやすく、跳ねやすい特徴があります。軟式ボールの飛距離を上げるためには、ボールを変形させないように、しっかり捉えるというバッティングの基本が大切になります。また、跳ねやすいため、ゴロ捕球も、簡単ではありません。中には、硬式野球のゴロ捕球より軟式野球のゴロ捕球の方が難しいと感じる方もいる程です。私は、軟式野球から硬式野球に移行した時に、少し不安があったものの、硬式ボールに慣れるのに、そこまで時間はかかりませんでした。それは、軟式野球でも、硬式野球でも、基礎が大切ということは、変わらないからです。しっかり基礎ができていれば、軟式野球から硬式野球に移行する時でも、さほど問題はありません。特に、初心者の方は、軟式野球から始め、基礎を固めて、硬式野球に移行していくのを、おすすめします。また、基本的なルールも同じなので、怪我のリスクが少なく、基礎を固められるという点から、野球を始めるなら、軟式野球から始めるのが良いと思います。

硬式野球と軟式野球についてのまとめ

 ここまで、硬式野球と軟式野球の違い、特徴、始めるならどっち? について解説してきました。

  • 硬式野球・・・硬式ボールを使用して行う野球
  • 軟式野球・・・軟式ボールを使用して行う野球
  • 硬式ボール
    • 硬い →飛距離が出やすい
    • 重い →球速が出やすい
    • 跳ねにくい
    • 滑りにくい
  • 軟式ボール
    • 柔らかい →飛距離が出にくい。怪我をしにくい
    • 軽い →球速が出にくい。蓄積的な疲労が少ない
    • 跳ねやすい
    • 滑りやすい

 硬式野球は、「レベルが高く、迫力満点のもの」で、玄人向け、軟式野球は、「多くの人が楽しめるもの」で、素人向けと言えます。初心者の方は、軟式野球から始め、基礎を固めて、硬式野球に移行していくことをおすすめします。

 硬式野球、軟式野球には、それぞれ特徴・魅力があります。多くの人が、野球を楽しめるように、違いを理解し、改善していくことが大切です。

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