日本と台湾の関係は、歴史的に縁が深く、台湾は、親日国であると言われています。この記事では、日本と台湾の絆の強さが、野球を通して再確認できた出来事を紹介します。2013年のWBC、日本-台湾戦で起こった感動の物語。1つのツイートから始まり、多くの感動を呼びました。野球人、日本人なら必ず知っておくべきエピソードです。
目次
WBCの歴史
まず、過去のWBCについて、ざっと解説していきます。
野球の世界一を決める大会として、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)という国際大会があります。WBCは、2006年に第1回大会が開催され、2023年には、第5回大会が予定されています。WBCでは、全4回の大会の中で、多くの歴史や感動が生み出されました。
第1回大会では、王監督率いる日本は、日本人らしい、走って繋ぐ打線と堅い守備、投手力を軸とした「スモールベースボール」に加え、アジアでトップクラスである長打力を合わせ、「スピード&ストロング」と称し、力を遺憾なく発揮しました。WBC第1回大会において、日本は、初チャンピオンとなりました。(野球 日本代表 第1回 WBC (2006年) – Bing video)
2009年の第2回大会では、原監督率いる日本は、代表チームを「サムライジャパン」と名付け、全9試合を戦い抜きました。 特に、日本-韓国の決勝戦の10回表、大会中に不調にあえいでいたイチロー選手が打った、勝ち越しタイムリーヒットは、多くの日本国民を感動させました。(2009年ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝 イチロー決勝打で侍ジャパン、韓国倒す – Bing video)日本は、第1回大会、第2回大会ともに優勝しました。
WBCでは、たくさんの感動とともに多くの歴史が生まれました。 第1回大会では、日本-アメリカ戦にて、「世紀の大誤審」というものが起こりました。(2006 World Baseball Classic 2次リーグ 日本 vs アメリカ – Bing video)
また、2006年の第1回大会、2009年の第2回大会において、日本-韓国で、勝利した韓国チームが、マウンドに韓国の国旗を立てるというようなことも起きました。
(2006年:https://youtu.be/yeTcioCqTJ0 2009年:https://youtu.be/pXhzMHi_Ukk)
多くの歴史や感動を生んだWBC。その中でも、この記事では、2013年の第3回大会の日本-台湾で起こった感動的なエピソードを紹介したいと思います。
感動を生んだ1つのツイート
物語は、試合の2日前に、ある人がツイッターでつぶやいた1つのツイートから始まりました。
「WBC、日本は初戦が台湾に決定。この試合を見に行かれる方、東日本大震災への台湾からの多大な支援へのお礼の横断幕やプラカードをお願いします。WBCを通し、日本と台湾の信頼関係を深め、私達が本当に台湾に感謝している事を伝えてください。」
第3回大会が開催された2年前の2011年3月11日、日本人が絶対に忘れることができない出来事が起こりました。東日本大震災です。多くの人の命が失われ、多くの建物が破壊され、被害は甚大なものでした。多くの人が生きるのに精一杯で、助けを必要としていました。そんな時、困難に陥った日本に対し、台湾はどの国よりも早く、援助隊を送り、200億円の義援金、400トンを超える支援物資を送ってくれました。多くの日本人がこの支援のおかげで助かりました。これは、日本人は、絶対に忘れてはいけないことです。
そして、このツイートをした人は、多くの支援をしてくれた台湾に、WBCを通して、感謝の気持ちを示すために、試合を見に行く人たちに呼びかけました。このツイートは、多くの日本人の共感を得て、瞬く間に拡散されました。
さらに、拡散の波は日本を飛び越え、台湾の人たちにも拡散されていきました。自分たちのために感謝の気持ちを伝えようとしている日本人に感動する人や2年も経ったのに覚えている日本人に感銘を受ける人もいました。
そして、この1つのツイートによって、日本-台湾の試合は、特別なものに変わっていくのでした。
日本と台湾で盛り上がりを見せる一方、台湾の選手は、この時すでに来日していたため、この盛り上がりに気付いていませんでした。そして、球場で横断幕やプラカードの存在に気付いた台湾の選手たちは、日本人を驚かせ、感動させる行動をしました。
WBC史に残る名勝負
試合当日、球場には、あのツイートの通り、台湾に感謝する横断幕やプラカードを持った人が多くいました。
「ありがとう。台湾」 「3.11の支援をありがとう」 「日本は台湾の誠意を永遠に忘れません」
などと台湾語で書かれた横断幕やプラカードを持った人が多くいました。
そして、試合は、WBC史に残る名勝負となりました。困難な時に助けてくれた台湾とそれに感謝する日本とが夜11時を過ぎる、大接戦を繰り広げました。8回には、スタンドでウェーブが起き、敵味方関係なく、1つに団結していました。
3回裏に、台湾が先制点を上げ、5回にも追加点を挙げました。日本は台湾からなかなか点が取れませんでしたが、8回表に阿部慎之助選手のタイムリーヒット、坂本勇人選手のタイムリーヒットで同点に追いつきました。その後、8回裏に台湾が勝ち越しのタイムリーヒットを放ち、2-3としました。追い込まれた日本は、9回2アウトから1塁走者の鳥谷敬選手が盗塁を決め、バッターの井端弘和選手が土壇場でタイムリーヒットを放ち、再び同点に追いつきました。そして、10回表に中田翔選手の犠牲フライで日本が逆転しました。
試合は、そのまま4-3で日本が僅差で勝利しました。(動画:日本vs台湾 WBC 2次ラウンド ダイジェスト 侍ジャパン4-3台湾-1 – YouTube)そして、日本の選手たちが喜びを爆発させる中、台湾の選手たちが驚きの行動をしました。
感動を生んだ台湾チームの行動
大接戦の上、日本に負けて落胆しているであろう台湾の選手たち。そんな台湾の選手、コーチ陣が日本人を驚かし、感動させる行動をしました。なんと、マウンドで円陣を作り、スタンドのファンに向けて、お辞儀をしたのです。
この行動は多くの人々を感動させ、WBCの歴史に刻まれました。勝ち負けに関係なく、相手を尊重する、スポーツパーソンシップに多くの人の心を動かしました。そして、日本と台湾の絆の強さを再確認できる出来事でした。
感動の物語のその後
この出来事は、台湾のニュースでも取り上げられました。また、SNS上でも話題になり、
「とても感動した。強さと愛のある良い試合だった。」
「日本の観客が台湾の国旗を振る姿も良かった。」
「台湾が負けて落ち込んだけど、東京のファンがしてくれたことは、本当に嬉しかった。」
「今回のことは、日本と台湾の関係が良い結果に繋がる出来事だと思う。」
などというコメントが寄せられました。この出来事は、日本と台湾だけではなく、多くの国の人を感動させました。
また、2013年11月には、小久保監督率いる侍ジャパンが、台湾との初戦終了後、台湾の観客に向けて、東日本大震災の台湾からの多大な支援に感謝を表しました。(動画:侍ジャパン2013,11月台湾戦後に東日本大震災の多大な善意に感謝をアピール@新荘球場 – YouTube)
「礼を礼で返す」 「感謝の気持ちを決して忘れない」
スポーツの力、野球の力を通して、日本と台湾の絆の強さが再確認されたエピソードでした。
WBCは、多くの野球人、日本人に楽しまれています。2023年には、第5回大会が開催されます。WBCの歴史を少しでも知っておくと、WBCをさらに楽しめると思います。この記事で紹介したエピソードを覚えていただけたら、幸いです。